会社・職場でのラジオ体操はいらない?どういった目的で実施されているのか?
- 朝からラジオ体操とか昭和かよ…
- ラジオ体操など時間の無駄!
- 朝礼でのラジオ体操はいらない
こう感じている社会人は、少なからずいらっしゃるでしょう。
個人の裁量で仕事を進めることに慣れている世代や、効率重視の働き方に価値を置く人ほど、ラジオ体操のような全員一律の習慣に対して違和感を抱きやすいといえます。
特に、デスクワーク中心の職場では「体を動かす必要性」そのものが実感しづらく、「なぜ業務前にこれをやるのか分からない」という疑問が生まれやすいのです。
そのため、労働者(社員・従業員)側からすると、ラジオ体操など意味がない・いらないと思ってしまうかもしれません。
一方で、視点を企業側に移すと事情は異なります。
時代が変わり、働き方改革やテレワークが進んだ現在でも、工場、建設現場、物流拠点、官公庁、さらにはデスクワークの企業に至るまで、ラジオ体操を続けている職場は数多く存在します。
単なる昔からの習慣だけで、ここまで長期間・広範囲に残り続けるでしょうか。
もし本当に意味がないのであれば、効率化が進む現代の企業環境の中で自然と淘汰されていても不思議ではありません。
この記事では、ラジオ体操はいらないと感じる労働者(社員・従業員)側の感覚を紹介するとともに、企業がラジオ体操を実施し続ける背景や、健康面・安全面・心理面における意味などについて考えていきます。
なぜ「ラジオ体操はいらない」と言われるのか

まずは、ラジオ体操に否定的な労働者(社員・従業員)側の意見を、下記の通り、整理しておきましょう。
- 形だけで意味が分からない
- 忙しい朝に時間を取られる
- 参加が半ば強制
- 効果を実感しにくい
ここを無視したまま「健康にいい」「安全管理にもいい」といった話だけをしても、現場の実感とは噛み合いません。
ラジオ体操に違和感を覚える人たちの感覚は、わがままではありません。現代の働き方の変化と密接に関係しているといえます。
詳しく見ていきます。
形だけで意味が分からない
多くの職場では、「なぜラジオ体操をやるのか」が明確に説明されることはほとんどありません。
その結果、社員の認識は、次のような感覚を抱いてしまい、受け身になってしまいます。
- 上からの指示だからやる
- 昔から続いているからやる
- なんとなく毎朝の流れでやっている
- 誰のための時間なのか分からない
本来は安全管理や健康増進といった意図があっても、それが共有されなければ意味のない儀式のようにに見えてしまいます。
意味が見えない行動は、自発性ではなく義務感で行われるようになり、「やらされている」という感覚だけが残ってしまいます。
忙しい朝に時間を取られる
ラジオ体操の実施時間がたった3分だったとしても、業務開始前の時間は多くの人にとって貴重です。
特に現代の仕事は、始業直後から情報処理や判断を求められることが多く、朝の数分は「仕事モードに入るための準備時間」として機能しています。
例えば、朝の時間に、
- メールやチャットを確認したい
- その日の作業内容を整理したい
- 仕事で使用するシステムを起動したい
と思う人も多いでしょう。
そんな時間とラジオ体操が重なることで、ラジオ体操のせいで仕事の邪魔をされているという感覚が生まれます。
ラジオ体操によって、自分のペースを乱されていると感じる人もいるのです。
参加が半ば強制
ラジオ体操への参加が半ば強制されてしまっているため、
- しっかりを行わないと協調性がないと思われそう
- 上司や先輩が見ていて評価に影響するのではないか
という心理が働いてしまう社員もいます。
こうした心理が働くと、本来は健康のための取り組みが、逆にストレスの原因になります。
とくに内向的な人や人前で体を動かすのが苦手な人にとっては、毎朝の小さな負担が積み重なり、ラジオ体操はいらないという印象が強まってしまいます。
効果を実感しにくい
ラジオ体操の運動強度は、早歩きと同じ程度です。
ジムやランニングのように疲労感や達成感が即座に出るわけではありません。
また、ラジオ体操の健康効果を実感したいようであれば、長期間の継続が大前提となります。
そのため、運動を行った実感が薄くなりがちです。
そして、健康効果はあっても即効性が低いため、ラジオ体操は意味があるのかわからないという印象につながります。
社員からすると、時間だけ取られる行為のように感じられてしまう場合があるのです。
それでも企業がラジオ体操を続ける理由

ここからが本題です。
企業がラジオ体操を続けている理由は、昔からの慣習だから…だけでは説明がつきません。
簡易保険加入者協会(2023)のよりますと、事業所を対象としたアンケート調査(サンプル調査)によりますと、今も、実に、2割弱の事業所がラジオ体操を実施しています。
なぜ、効率やコストに厳しい企業が、ラジオ体操を取り入れているのか。下記のように、業務時間を割いてまで継続している明確な理由があるのです。
- ケガ・事故予防
- 集中力のスイッチを入れる
- 健康経営の一環
- 出勤確認と体調チェック
詳しく見ていきましょう。
ケガ・事故予防
まずは、ケガや事故の予防のためにラジオ体操を実施しているケースです。
この目的は、特に、工場、建設業、物流など身体を使う現場で重視されています。
朝は体温が低く、筋肉や腱は硬い状態にあります。この状態でいきなり重い物を持ったり、反復動作を始めたりすると、身体にかかる負担は大きくなります。
社員が、腰痛や肉離れ、関節痛、転倒事故などを引き起こすリスクもあります。
ラジオ体操には、全身の関節を動かし、筋肉の伸縮を促し、血行を促進される働きがあります。
これにより、全身の筋肉がほぐされ、急激な負荷によるトラブルを減らすことが期待されます。
企業側の視点で見れば、ラジオ体操は、労災リスクを下げるための予防投資にあたるのです。
労災が1件起きるだけでも、企業にとっては、補償・人員調整・生産性低下などのコストは非常に大きいため、3分のラジオ体操は安価なリスク管理手段なのです。
なお、この考え方はデスクワークにも当てはまりまります。
長時間の座位姿勢による腰痛、肩こり、首の痛み、手首の不調などを訴える人は少なくありません。
朝に全身を軽く動かすことで関節の動きが滑らかになり、同じ姿勢を長時間続けた際の負担軽減につながります。
集中力のスイッチを入れる
前述したことと関連しますが、朝のラジオ体操によって、集中力のスイッチを入れることが可能です。
人間の脳は、軽い運動を行うことで覚醒レベルが上がります。
血行が促進され、自律神経が活動モードに切り替わることで、眠気やだるさが軽減されます。
「出社はしているけれど頭が働いていない」状態は、生産性の観点から見ると大きなロスです。
ラジオ体操は、仕事前に脳と身体を同時に目覚めさせる簡易的なウォーミングアップの役割を果たします。
デスクワーク職においても、朝いきなり高度な判断や情報処理を求められる場面は多くあります。
軽く身体を動かすことで頭の回転が上がり、「作業に入るまでのエンジン始動時間」を短縮する効果が期待できます。
健康経営の一環
社員の健康維持・健康増進の観点、すなわち、健康経営という観点からも、ラジオ体操は重要です。
近年、多くの企業が健康経営を重視するようになっています。
これは従業員の健康を個人の問題ではなく、企業の生産性や持続的成長に関わる経営課題として捉える考え方です。
この視点に立つと、ラジオ体操は全社員を対象にした取り組みとして導入しやすく、継続もしやすい健康施策の一つといえます。
軽い全身運動でも、血流の改善や筋肉のこわばりの緩和につながり、肩こりや腰の違和感、だるさといった不調の軽減に役立つことがあります。
また、運動習慣がほとんどない人にとっては、ラジオ体操が貴重な身体活動の機会になる場合もあります。
このようにラジオ体操は、健康経営の観点では、従業員のコンディション維持を支えるための低コストな取り組みとしても位置付けることができるでしょう。
出勤確認と体調チェック
ラジオ体操によって、体調を確認することができます。
管理職などは、ラジオ体操実施時に、
・今日は誰が出社しているか
・顔色が悪い人はいないか
・動きが鈍い、元気がない人はいないか
確認することができます。
ラジオ体操といった体を動かす場面では、社員のコンディションが表れやすく、早期の体調不良やメンタル不調の兆候を察知するきっかけになります。
人との接触が減りがちな現代のオフィス環境においても、こうした体調チェックの機会は意外と貴重です。
当記事執筆者でラジオ体操インストラクターの「ラジねえ。」は、企業さま向けに、正しいラジオ体操の指導を行っています。
従業員の皆さまに、ラジオ体操の意義や効用を説明するとともに、正しい体操の動きをわかりやすくレクチャーしています。
>詳細は「運動プラン」のページをご覧ください。
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最後に
社員・従業員が「ラジオ体操などいらない」と感じるのは、決して不思議なことではありません。
理由が見えないまま続けられていることに、違和感を覚えているということなのです。
実際、多くの職場で、ラジオ体操を実施する意義が、社員・従業員に共有されていません。
そんな状況で、「ラジオ体操をやれ」と言われても、気持ちがついてこないのは自然なことです。
一方で、企業側にも、健康管理や安全対策、集中力の切り替え、体調チェックといった意図があるのも事実です。
そこで重要なのは、ラジオ体操をなぜ行っているのかを社員・従業員に説明し、今の職場環境や働き方に合う形へと調整することです。
ラジオ体操を実施する理由が共有され、無理のない形で行われている取り組みは、今後も、習慣として生き残っていくと思います。
投稿者プロフィール

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ラジオ体操・スポーツインストラクター
一般社団法人ラジーン代表理事
企業、自治体、スポーツ競技団体等年間100団体以上と協業し、健康に関する講習会や講演会を各地で実施。TVラジオなどのメディアにも出演し、ラジオ体操を通じて健康・スポーツの普及推進活動を行っています。
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